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内視鏡的粘膜下層切開剥離術:ESD

切除できる病変(適応)

胃・大腸・食道・十二指腸・咽頭の早期がん(病変が浅く、粘膜内にとどまる)が治療の適応となります。治療が可能であるかどうかは、内視鏡での見え方・病変の大きさ・拡大内視鏡の所見などにより総合的に判断します。

これまでの方法と比較して癌が取り切れる可能性が高く、一括で切除できるため、術後の病理検査(顕微鏡で病変を分析する検査)も高い精度で行えます。お腹を切らずにがんが切除できる画期的な方法であり、当院でも年間60名以上の方に治療を受けて頂いております。また治療が困難とされる咽頭や十二指腸のESDも当院では施行可能です。

方法

  • 拡大内視鏡を用いて腫瘍の切除範囲を決定します。
  • 局注:腫瘍の部位を含め、その周辺の粘膜下層に粘度の高い薬剤(ヒアルロン酸ナトリウム)を注入して病変を浮かせます。
  • 粘膜切開:ナイフ(治療専用の高周波メス)で病変周囲を切り開きます。
  • 粘膜下層剥離:ナイフを使って病変を少しずつ剥ぎ取っていきます。剥離中に血管や出血を認めれば、出血予防のために止血鉗子を使って凝固処置します。
  • 切除:病変を最後まで剥離するか、最後に金属の輪(スネア)を用いて切除します。切り取った後は潰瘍になります。出血の可能性のある血管を処理して手術は終了となります。
  • 腫瘍摘除が困難と判断した場合(腫瘍が予想より深く浸潤している・線維化が強い・大きな偶発症が起こった)は途中で治療を中止する場合があります。

早期咽頭がんESD

早期食道がんESD

早期胃がんESD

十二指腸腫瘍ESD

早期大腸がんESD

手術日程

  • 胃・食道・十二指腸・咽頭の手術の場合は手術当日に入院、大腸の場合は手術前日に入院し下剤でお腹をきれいにしてもらいます。
  • 手術は病変の場所や大きさにもよりますが、1時間前後で終わることが多いです。
  • 病変を取った場所は人工の潰瘍になります。術後2日程度は絶食とし、その後の経過により流動食から召し上がっていただきます。
  • 平均1週間前後で退院することが可能です。

合併症(全体で3.13%)

  • 術後出血:4-5%程度
  • 消化管穿孔(消化管に孔が空いてしまうこと):1-2%程度
  • 腹痛
  • 治療に使用する薬剤によるアレルギー(気分不良・嘔気・ショック)以上のような合併症が予想されますが、当院では全国集計よりも合併症の確率は低く安全な治療を心掛けております。

以上のような合併症が予想されますが、当院では全国集計よりも合併症の確率は低く安全な治療を心掛けております。

病理検査・追加治療

切除した病変を顕微鏡で詳細に検討します。この検査結果により病変の深さやリンパ節転移の可能性などを検討し、根治しているかどうかを判断します。病理検査は結果が出るまで10日前後かかります。

病変が予想より深く及んでいた場合や血管・リンパ節などへの転移の可能性が高い場合、ESDを途中で中止することがあり、その場合は外科的な治療が必要となります。

術後の注意事項

退院後2-3週間は

  • 消化に良い食事を心掛け、刺激の強いもの、アルコール脂ものなどは控えるようお願いします。
  • 安静を心掛け、激しい運動(ジョギング・ゴルフなど)や出張・旅行などの遠出は控えて下さい。
  • 入浴は避け、シャワー程度にしてください。身体を暖めることで出血のリスクが増えます。

術後出血・穿孔・腹痛

前述した合併症は術後1-2週間程度は起こりうることが知られています。当院でも万全の止血処置など合併症に対する予防は施しておりますが、万が一腹痛・下血・発熱などの症状が見られた場合は当院に連絡し、主治医の指示を受けて下さい。

詳しくはお問い合わせ下さい。
三愛メディカルセンター消化器病・内視鏡センター
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