治療・手術から探す

食道静脈瘤硬化療法(EIS;EO法)、食道地固め治療(AS法、APC)

食道静脈瘤は一旦破裂を起こすと命に関わることも多い危険な病気です。食道静脈瘤はお酒を多量に飲む方(アルコール性肝障害)や、肝臓の病気(B型肝炎やC型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、非アルコール性脂肪肝炎)をもつ方などにできる可能性がありますが、破裂して吐血しない限り自覚症状もありません。そのため破裂を起こす前に胃カメラにより早期発見を行い、破裂リスクが高くなった場合や一度でも破裂を起こした場合には内視鏡的に治療を行う必要があります。
透視下で行う治療(食道静脈瘤硬化療法;EIS)は、高度な技術や設備が必要で、限られた施設でしかできませんが、当院ではその治療を行うことができます。

適応となる疾患

  • 破裂リスクのある食道静脈瘤

※肝臓や腎臓の機能がある程度保たれている方に限定されます。高度な肝障害や腎障害がある方には、他にEVLという食道静脈瘤にゴムをかけて結紮する治療が可能です。

方法

  • 治療前の外来検査にて超音波内視鏡検査(EUS)・CT検査による血行動態評価を行います
  • バルーンを装着した内視鏡を食道に挿入し、バルーンを膨らませることで食道静脈瘤の必要な部分のみに造影剤が入るように準備します。
  • レントゲンで確認しながら、局注針を用いて食道静脈瘤に硬化剤(5%EOI、無水エタノール)を注入し、静脈瘤を血栓化・閉塞させます(EO法)。
  • 硬化剤を食道静脈瘤の固有供血路(左胃静脈、すだれ様静脈など)まで注入することで、治療後の食道静脈瘤再発の抑制を図ることができます。

バルーンを膨らませ、食道静脈瘤に硬化剤を注入している際のレントゲンおよび内視鏡画像

治療前

治療後

治療4ヶ月後

食道静脈瘤硬化療法(EIS;EO法)を行った1ヶ月後に外来にて内視鏡検査を再度行い、静脈瘤の改善具合を確認します。太い食道静脈瘤が残存していた場合、再度入院下にEO法による治療を繰り返します。太い血管が消失していれば、次に細血管の消失を目的とした地固め治療(AS法)を行います。1%AS(polidocanol;エトキシスクレロール®)を1~2mlずつ下部食道の静脈瘤残存部に粘膜下注射していくことで、食道粘膜に浅い潰瘍を形成させ、線維化により血管の消失、粘膜の硬化を図ります。

AS法による地固め治療

EO法やAS法により血管が消失した後、最終的にはAPC(アルゴンガスを用いて広く浅い組織凝固を特徴とする非接触型高周波凝固法)による食道粘膜の焼灼治療を行うことで、今後の食道静脈瘤の再発を抑制することができます。

治療日程

  • 治療前日あるいは当日に入院します。
  • 治療当日は朝から絶食となり、治療を行った翌日の昼から流動食から食事を再開し、数日間かけて通常食に戻していきます。
  • 1回毎の治療はEO法で30分〜1時間、AS法やAPCでは20分程度で終わります。薬により眠っている間に治療を行うため、ほとんど苦痛はありません。
  • 肝臓や全身状態に影響がないよう、週に1回の治療を行います。EO法やAS法による1回の入院では2〜3回(2〜3週間)の治療を行います。APCによる治療は治療当日に入院し、およそ4日程度の入院となります。
  • 最終的には地固め治療も含めると3〜5回程度の治療を行うことが多いです。

偶発症

胸痛(21.5%)、発熱(22.7%)、食道潰瘍・びらん・潰瘍出血(30.6~32.4%)などが比較的多く見られる偶発症ですが、いずれも一時的であり解熱鎮痛剤や対症療法で良くなることが多いです。非常にまれではありますが、食道穿孔・食道狭窄・塞栓症や敗血症なども起こる可能性があり、何か偶発症・合併症が見られた際には入院期間が延長となる可能性があります。

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三愛メディカルセンター消化器病・内視鏡センター
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